カワハギ 葉山・権太郎岩 Stephanolepis cirrhifer (Temminck & Schlegel, 1850)
2012年 06月 09日
市場価値としては、関東ではキュウセンは見向きもされないが、カワハギは高級魚である。
実は、毒々しい色のキュウセン(♂)は関西では珍重されており、さすが大阪だと思う、って偏見か。
カワハギは、新鮮なものは薄造りにして、裏ごしした肝を和えた醤油で食べる。
淡白な締まった身に肝の濃厚さ。
いくらでも酒が飲める。
肝の大きな冬の時期が良いなあ。
また、ちり鍋にしても美味い。
上品な良い出汁が出る。
グルメブログか。
2
皮は堅くザラザラしているが、簡単に手で剥がれる。
だからカワハギ。
地方によっては、「バクチウチ」と呼ぶところもある。
負けると身ぐるみ剥がされるからか。
このおちょぼ口が曲者だ。
この口から水を吹いて砂を巻き上げ、隠れている餌を探す。
環虫類、貝類、甲殻類などを食する。
3
なぜかというと釣るのが非常に難しいのだ。
餌を一気に食わず、まずこのおちょぼ口でつつく。
異常がないと思うと口に含む。
おかしいと思えば吐き出すし、かじっては吐き出す。
これを釣り人に感知させずに行うのだ。
だから、気が付くと当たりもないのに餌はなくなっている。
だから、釣り方は色々あるのだが、基本は、竿をゆっくり上げ下げして(「聞く」という。)、重みを感じたり何かおかしいと思ったら合わせるのだ。
まだ下手な時は何度やっても、重みや変化が判らず餌ばかり取られていた。
悔しいので、高い竿を買い、毎週毎週釣り宿に通い、指南書を買ったりして勉強した。
それほど魅力的な魚なのであった。
4
石の下に隠れる環虫類や甲殻類を喰ってやろうと、僕の周りを泳ぎ回りながら隙を狙っている。
チョロチョロと実にウザったい。
キュウセンはわりと間合いを取るが、このカワハギはかなり図々しい。
僕の顔の前や手の先にまで寄ってくる。
二度ほど素手で捕まえた。
食ってやろうかと思ったのだが、ダイビングで採取は禁止だ。
手で捕まえたんだからいいじゃないかとも思ったが、サザエを取るのと理屈は同じだ。
忌々しい思い出だ。
すっかり愛が冷めている。
ちなみに体色を実に上手に変える。
これもカワハギ。