ミナミウメボシイソギンチャクAnemonia erythraea (Ehrenberg)

本州以南の浅い海に生息しているイソギンチャクである。
だいたい潮間帯から水深10mくらいのところか。
葉山のエントリー口から権太郎岩に向かう途中の転石の下に多く、甲殻類、ウミウシ、ヒラムシなどを探しているときによく見かける。



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触手の筋力が弱いため、常に開きっぱなしか半開き状態で、転石をめくると花が満開の様で綺麗だ。
要は締りがないのだ。
結構これ好きで、必ず写真を撮る生き物のひとつだ。
また、石に付着する力も弱いせいか、力強く転石をめくるとポロッと石からこぼれ落ちることがある。
すぐに剥がれてしまうのだ。
別に万引きするわけではないが、Book Offの値札もこのようにして剥がれてくれれば苦労しないのだが。
この変も”あはれ”な様があって実によい。



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このイソギンチャク、餌が豊富だと有性生殖を行い体も大きくなるらしい。
ところが、餌が少ないと縦分裂による無性生殖で増える。
両性具有とか性転換とか、海の生き物には環境に適応した便利なやつらが多い。
僕も自然と大吟醸とかのアルコールを分泌する体質とかに生まれたかった。
また、色の変異が著しいといわれているが、葉山ではこの色しか見たことがない。

このイソギンチャクを見るたびに思うのは太陽の塔だ。
あの大阪万博の象徴とも言える建造物だ。
見比べているとそうではないのだが、いつも開いている触手が太陽を思わせるのか。
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by 1colorbeach | 2011-06-25 10:12 | 刺胞動物 (25)

ベニイシガニ 葉山・権太郎岩・ロープ沿い Charybdis acuta (A.Milne Edwards)

葉山には、ガイドロープが設置してある。
僕がいつもタンクを借りている店のオーナーとそこの常連さん、そして葉山でセルフダイビングをウリにしているショップのオーナーが整備をしてくれている。
濁りやウネリが強いときには心強い見方となり、ありがたいことだ。
僕は不器用なのでロープに触ったこともない。
そのロープが権太郎岩の左沖まで伸びているのだが、途中に大きなカイメンや岩の亀裂が無数にある。



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葉山では、そういうところにこのカニは生息している。
ある時はカイメンの中に潜んでいたり、ある時は岩の亀裂に潜んでいる。
赤くて実におめでたいカニだ。
だから潜んでいても目立つのだ。
何のために潜んでいるのだ。
ベニイシガニといい、ワタリガニの仲間である。
分布は東京湾から紀伊半島とのこと。
飛んで香港にもと図鑑には書いてあった。
さらには、男鹿半島にもいるとのこと。



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甲羅に沿ってカニの眼の下にはトゲトゲがある。
この眼の下を「前側縁」といい、トゲトゲを「歯」という。
この歯は分類上重要なポイントなのである。
このカニは歯が6本ある。
眼から数えて5本は上を向いているが、6本目は大きく横を向いている。
これが大きな特徴なのだ。



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黒いつぶらな瞳が可愛い。
昼間はこのように隠れているのだが、赤いので目立つ。
夜は餌を求めて活発に活動する。
夜活動するという点では僕と同種である。
第4歩脚がヒレのようになっていて、泳ぐようにすばやく逃げられる。
僕も学生時代、夜遊びしていてよくおまわりさんに追いかけられ逃げたもんだった。



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by 1colorbeach | 2011-06-21 23:10 | 甲殻類 (61)

オミナエシダカラ 葉山 権太郎岩 Erosaria boivinii (Kiener, 1843)

タカラガイの仲間は、さすがお金として扱われてきただけあって綺麗だ。
海の中で綺麗なタカラガイの貝殻を拾うと嬉しい。
持って帰って机の上に飾ってあるがだいぶコレクションも増えてきた。
以前うっかり生体を持ってきてしまってエライ臭いに悩まされた。
申し訳ねえ。
最近は拾ったら、必ず臭いは嗅ぐようにしている。


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葉山では良く見かけるタカラガイである。
オミナエシダカラ。
女郎花宝と書く。
植物のオミナエシは黄色い花が咲くがなぜこんな名前になったのだろうか。
花とは関係がなく、女郎が白粉を塗った様か。
チチカケナシジとも呼ばれるが、乳をかけたような色合いが的を得ている。



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房総半島以南の潮間帯から水深30m程度の転石の裏などに生息している。
カラーバリエーションは多いらしいが、色々と調べてみると葉山のはとても綺麗だ。
色合いといいくっきりとした目玉模様といい群を抜く。
贔屓目かもしれないが。
ご覧のとおり、外套膜に覆われており、普段の姿はきわめて地味だ。



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指で外套膜をチョンと突付くとこの通り。
ジワジワと美しい貝殻が現れる。
このギャップはかなりのもんだ。
しかし、おとなしく外套膜を被っていれば見つかりにくいのになと思うのだが。
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by 1colorbeach | 2011-06-18 21:53 | 貝 (40)

ミノカサゴ 葉山 権太郎岩沖  Pterois lunulata 

生き物の中には「危険」と言われるものが少なくない。
噛む、毒を持つ、刺す、火炎を吐く、など多様な戦力を保持している。
が、大抵は、国権の発動たる武力による威嚇又は武力の行使を積極的にするのではなく、防衛手段としてこれら戦力を保持している。

僕も「あなたって危険な男ね」とよく言われるが、人に自慢できるほどの武力は持ち合わせていない。



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ミノカサゴは、大きな胸鰭を広げて、優雅に水中を漂っている。
英名は「lionfish」といい、その鰭は、さながらライオンのたてがみを髣髴させ、実に美しい。
しかし、この魚の背鰭などに毒があるのだ。
どのような毒の種類なのだか、まだよくわかっていないようだが、刺されるとひどく痛み、死にはしないが眩暈や吐き気をもよおすそうだ。
確かに、ライオンにそこらで出遭えば眩暈くらいはする。



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しかも、こいつら、始末の悪いことにダイバーが近づいても逃げないし、よく後をついてくる。
ふと振り返ると、すぐ肩の辺りにいた、なんていうことは二度三度ではない。
しかも、下手に追い払ったりしようものなら、攻撃に転じてくる。
己の戦力によほどの自信があるのだ。
わーっ、綺麗、わーっ、可愛い、などと絶対に近寄ってはいけない。
でも、相手が近寄ってくるこの恐怖。
筆舌しがたいが、書いてしまった。



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これは、若魚。
スマートで精悍で色合いも薄く上品で綺麗だ。
葉山の沖では、この若魚を良く見かける。
普通種だが、遇えるとそれなりに嬉しい。



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ちなみに、西伊豆でこれの唐揚げを食べたが、実に美味しかったぞ。
ざまみろ。
でも綺麗だな。
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by 1colorbeach | 2011-06-12 23:38 | 魚 (89)

ニッポンフサゴカイ 葉山・権太郎岩 左沖 Thelepus setosus

気持ち悪いという人はいる。
僕は綺麗だと思う。
人それぞれだ。
世の中の男女のカップルがそれなりのバランスを保っているのはそういうことだと思う。
こんな…でも…
蓼食う虫も好き好き…とは言わない…言っちゃったか。



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ニッポンフサゴカイなどというたいそうな名前が付いている。
葉山の水深10m。
石の裏に家(棲管)を砂で作って潜んでいた。
僕と出遭わなければぬくい幸せは永遠に続いたことだろう。
ここで眠りが破られた。
ごめん、世の中上手くいかないものなのだよ。

環形動物門多毛綱フサゴカイ目フサゴカイ科に属するゴカイの仲間である。
フサゴカイの仲間は、このように頭部に伸びたラーメンの塊のような触手の束を持つ。
この触手をワサワサと伸ばし、プランクトンなどの有機物を食べるのだ。

実に奇妙な生き物だが、実に造形的に美しい。
でも、これが魚にとっは美味しいご馳走なのだ。

人が食べても美味しいとは思うが、僕は食べない。

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by 1colorbeach | 2011-06-08 22:01 | その他の葉山の海の生き物 (46)

マガキガイ 権太郎岩・浅場 Strombus luhuanus Linnaeus,1758

権太郎岩の浅瀬の砂地にゴロゴロと転がっている貝がいる。
だいたい夏ごろか。
地味な貝でありあまり見向きもされない。



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マガキガイという。
盤足目ソデボラ科(スイショウガイ科)に分類される巻貝の仲間だ。
ワモン系のヤドカリが被っていそうな貝殻である。
超猛毒針を持つアンボイナなどのイモガイに似ているが、まったく別物。
スイジガイとかクモガイなどの仲間で、房総半島以南に棲息する。
ぜんぜん形が違うじゃんとは思うがそういうことらしい。
擬態だという説もある。
似てりゃなんでも擬態というわけじゃないとは思うが。
水槽などに入れておくと、綺麗に苔などを綺麗に掃除してくれるので重宝がられているという。
偉いやつらなのだ。



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この貝、地方によっていろいろな呼び名がある。
ピンピンガイ(三重県)チャンバラガイ(高知県)ティラジャー(沖縄)、トビンニャ(奄美大島)などだ。
この貝の特徴は、いっちゃってるようなグリグリの眼と貝の蓋がヘラのような刀のような形をしていることだ。
この目はかわいい。
そして、この蓋は外側が鋸の歯のようになっている。
で、チャンバラガイか。
ノコギリガイの方が形態には近いが。
また、貝をひっくり返すと、この蓋を使って海底を蹴るようにクルッとジャンプして起きる。
これが実に面白い。
起きては引っくり返し、ずっと見ていて、エアの半分を使ったことがある。
これで、ピンピンガイとかトビンニャか。
虐待だ。



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この貝、実は美味いのだ。
塩茹でで山葵醤油がいい。
これは、宮古島で食べた刺身。
甘みがあって旨みがあって酒が進む。
サザエのような癖はなく、万人受けする。
葉山の海にゴロゴロと転がっているのを思い出すと、よだれが出てきそうだ。
でも、あの眼を見たら、食べるのはちょっと忍びない。


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コレが爪だ。
鼈甲のようで実に綺麗だ。
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by 1colorbeach | 2011-06-02 22:27 | 貝 (40)