ソメンヤドカリ 葉山 権太郎岩 Dardanus pedunculatus (Herbst, 1804)

ソメンヤドカリは、大型のヤドカリで、葉山の沖などでたまに見かける。
特徴は、左の鋏脚が大きいこと、眼が抹茶色をしていること、眼と頭をつなぐ眼柄が赤白であること、宿である貝殻に共生の関係であるイソギンチャクを付着させていることなどである。


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付着させいているイソギンチャクは、ベニヒモイソギンチャクという。
ソメンの他にも、サメハダヤドカリやイボアシヤドカリなどがこのイソギンチャクを宿貝に付けていることが知られている。

このヤドカリ、実に足が速い。
で、ご法度の指で押さえて写真を撮ったわけだが、これがベニヒモイソギンチャクを刺激した。
刺激されると、このように槍糸と呼ばれる刺胞毒を持ったピンクのヒモを吐き出すのである。
これが、このイソギンチャクの武器なのだ。
スパイダーマンみたいだ。



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ヤドカリの天敵であるイシダイやらタコなどがヤドカリを襲おうとしても、このイソギンチャクの毒針攻撃がある限りおいそれと手は出せない。
ヤドカリを結果として守っているのだ。
そして、イソギンチャクは、ご褒美にヤドカリの餌のおこぼれをもらっているのである。
こうなると誰も近づかない。
このことを称してソメンソカともいう。

ヤドカリは成長のたびに、窮屈になった宿貝を住み替えるのだが、その都度このイソギンチャクも連れて行く。
聞いた話だが、イソギンチャクを突いたり包んだりして刺激して柔らかくし、住替え先の新しい貝殻に押し付け、イソギンチャクに引っ越せと促すらしい。
この時は槍糸は出さないのだろうか。
不思議な関係だし、不思議な行動だ。



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これは、大瀬崎で見たソメンちゃん。
槍糸がイソギンチャクの白い点の部分から出ているのがよく分かる。
また、足や槍糸の流れる角度で、猛スピードで逃げていく様もよく分かる。
確かに速い。
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by 1colorbeach | 2011-03-28 19:50 | 甲殻類 (61)

ヨロイメバル Sebastes hubbsi (Matsubara,1937 )

葉山の権太郎岩から岸に向かう途中の浅場で安全停止がてら遊んでいた。
ゴロタの隙間にカサゴらしきものがいる。
よく見るとやけに毒々しい色だ。
顔色の悪い病気のカサゴかと思い、写真を撮ってその後ずっと放置していた。

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僕は、魚類図鑑などをパラパラとやりながら酒を飲むのが趣味である。
変わったやつだとよくいわれる。
図鑑は醤油だの汁の染みがかなり付着している。
時折、干乾びた魚片がはさまっていることもある。
アマゾンでは売れない。
で、ある日、ふと図鑑をみるとよく似た魚がいるではないか。
ヨロイメバルという。
病気のカサゴではなかったようだ。

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赤茶色の緋縅鎧に似た体色をしているということでヨロイメバルか。
見つかる場所によって色彩変異が激しいが、特徴のある紋様や両目の間がくぼんでいること、また背鰭の14本の棘で判別できるようである。
岩手県や新潟県以南の浅い岩礁に生息しており、カサゴやメバルなどの根魚釣りの外道でもたまに掛かるという。
葉山のほかに真鶴でも見たことがあるが、この辺では、あまりたくさんいる魚ではない。

食べても美味しい魚だそうだが、ちょっと毒々しくて遠慮したい逸品である。
病気がうつったら嫌だ。
あっ、気のせいか。
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by 1colorbeach | 2011-03-23 22:07 | 魚 (88)

カコボラ 葉山 権太郎岩 Cymatium(Monoplex) parthenopeum (Salis Marschlins,1793)

海の中には生き物だけではなく、色々と変わったものがいる。
例えば、イチジク浣腸や豪華釣竿3本セットなども見つけたことがある。
いずれダイビングが出来なくなったら釣りでもやろうかと拾おうと思ったが、一応拾得物なので、警察に届けるなどの手続きも面倒くさいので止めた。
イチジク浣腸も当然放置しておいた。
僕も海の底に落ちているようなことがないように注意したい。
あっ、それって水死だ。

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また、時々タワシを見つけることもある。
拾って帰って、汚れたドライでも洗おうかと考えた。
しかし、よく見たら貝だった。
カコボラという。
蓑を被ったみたいに見えるので、ミノボラとも呼ばれるホラガイの仲間である。

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これが裏側。
貝殻の色合いがなかなか美しい。
チータ柄の奇妙な色の部分は身(軟体部)である。
房総半島以南、インド洋、太平洋にかけて分布する。
葉山では、岩に何気についていることが多い。
このような衣装なので、たまたまそこに眼が行くか探そうと思って探さないと簡単に見つかるもんじゃない。

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これが、身を引っ込めようとしているところ。
この部分は、薄黄色ベースに紺青色の水玉模様だ。
シュールである。

この身、実は食べられるし美味しいらしい。
刺身で食べると甘く磯の香りが香ばしいとのこと。
ただし、内臓や唾液腺に猛毒を持っているらしい。
あいまって、この色合いである。
さらに、貝殻が汚い。
さすがの悪食の僕でも、多分食べない。
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by 1colorbeach | 2011-03-20 20:54 | 貝 (40)

チャガラ Pterogobius zonoleucus Jordan and Snyder,1901

ハゼの仲間には美しいものが多い。
また、地味なやつでも個性豊かだし、分類も複雑だ。
世にダイバーのハゼマニアは多い。
研究面でも、天皇陛下がハゼの分類がご専門で、貴重な論文を残されている。

僕は魚類の中でハゼが好きだ。
それは、バリエーションがあって楽しいからだ。
単純だ。
で、ハゼの仲間で一番好きなのはこれだ。

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チャガラという
千葉・新潟から九州にかけて分布する普通種。
大きくなっても、10cmくらいか。
寿命は一年程度で、冬期にペアリングする。
婚姻色は実に美しい。
そして、春濁りの時期に産卵する。
初夏には、パッチリとした黒眼の、オレンジ色の可愛い大群が見られる。

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しかし、チャガラとは色気のない名前である。
稚魚の色が単色で地味で細くてお茶殻のようだというところから来ているらしい。
しかし、親の色はこのとおり。
黄色の横縞に南の国の織物のような背鰭・腹鰭。
僕は世界で一番美しいハゼだと思っている。
人の好みなのでちょっかい出さなくてもヨロシ。

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冬の終わりに岩の下で見つけたチャガラ。
子孫を残す、という大仕事を終えたのだろうか。
ボロボロになってひっそりと朽ちていく。
ダイビングで体感できる世界は、華やかで綺麗というイメージがある。
しかし、この時は、生と死という過去から遠い未来にかけて永遠に続く繰り返しの”あはれ”に、ちょっぴり想いをはせてみた。

このたびの東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
早い復旧・復興をお祈りしております。
出来ることはやらせていただきたいと思っています。
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by 1colorbeach | 2011-03-19 10:32 | 魚 (88)

ハナデンシャ 大瀬崎  Kalinga ornata (Alder & Hancock, 1864)

ついにやってしまいました。
といっても、酔っ払った威勢でストリップ劇場にて花電車で遊んだわけではない。
都電荒川線のようなチンチン電車にエレクトリカルパレードみたいな電飾や装飾をくっつけて走る、レトロな花電車に乗ったわけでもない。
幻のウミウシと言われているハナデンシャに出会ってしまったのである。
ウミウシダイバーなら一度は見たいと思っている超レアモノだ。

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場所は西伊豆大瀬崎。
ショップは、指折りのウミウシガイドである「海の案内人 ちびすけ」だ。
大瀬崎でもセルフは楽しめるが、やはり旬のものや見たい生き物があるならここにお願いしている。

このハナデンシャ、大きさは5cmくらいか。
楕円形の体に朱だの白だののボツボツが。
このボツボツの鮮やかさをレトロな花電車に例えて、名前がハナデンシャという。

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これは、後ろから鰓を撮ってみた。
さすが、スターライトパレード仕様の星型である。

ハナデンシャは、日本では本州中部以南に生息し、西太平洋からインドまでを分布しているようだ。
このウミウシは刺激を与えると発光するとのことで、ちょいと遊んでみたが昼だったのでイマイチ分からなかった。
レアだけあって、生態もよくわかっていない。

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よく見ると、触角が黄色で、その根元は朱色。
吻のような部分には、フサフサが。
通常は砂に潜っているようで、このときもこのフサで砂を掘って潜ろうとしていた。

ハナデンシャは葉山でも何度か見つかっている。
磯探索のお仲間kouchaとpawさんのこんなのとか。
たまたま見つけたそんなのとか。

一度見られればいいやと思っていたが、人間とは欲深いものだ。
葉山でもいつか見つけられたらいいなと思っている。
しかし、発見される時はだいだいフラフラ浮いているようで、どうも出会い頭を期待するしかないかな。
ちなみに、くじ運は昔から弱く、胸ときめくような出会いにも縁がない。
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by 1colorbeach | 2011-03-07 00:16 | 伊豆・伊豆諸島の生き物 (5)

ツノガニ or マルツノガニ 葉山 権太郎岩沖

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これ、カニである。
ツノガニかマルツノガニ。
体にカイメンやらヒドロ虫をまとっている。
擬装である。
ツノは擬装により着飾って角が丸く見えるが、これを剥けば二本の突き出した触覚は尖っている。



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葉山の沖合い、水深14~5mのオノミチサンゴやヤギの仲間には大抵付いている。
中には一体のコーラルに数個体も群がっていることもある。
それは、それは実に奇妙な集団である。
ジッとしていることが多いので、何かのオブジェを見ているような神秘的な光景だ。

なお、水深10mに、このカニとベニキヌツヅツミ、シュスヅツミ、トラフケボリがずっと一緒に付いているヤギがある。
他のヤギには何もいないのにこのヤギだけはいつも賑やかなのだ。
まるで一人勝ちのラーメン屋だ。

これも海の生態の不思議の一つだ。

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by 1colorbeach | 2011-03-02 23:01 | 甲殻類 (61)