テヅルモヅル … セノテヅルモヅル (Astrocladus coniferus) 葉山・権太郎岩沖
2012年 03月 01日
居場所を聞いたのだが、彼女の表現があまりに的確過ぎるのと僕のナビが実にいい加減なことでついぞ見つからなかった。
ある日一人で、権太郎岩の沖を徹底的に探ってみた。
一度、伊豆の雲見で見つけたことがあるが、ホームでどうしても遭いたい生き物だったのだ。
葉山ではありえない話なのだが、そろそろデコが出そうになったときについに見つけた。
1
ちょうどオオウミシダの根元にいた。
前衛生け花の根っ子というか、鉢植えの観葉植物を引っこ抜いた根っ子というかそんな感じだ。
テヅルモヅルは「手蔓藻蔓」とか「手蔓縺」とか書く。
「シッチャカメッチャカ」とか「踏んだり蹴ったり」とか「ナンジャモンジャ」とかに語感が似ている。
形態もそういう感じだ。
エビでも隠れていないかと触ってみたが、腕は硬くて折れそうなので止めた。
ところが、触った後に嫌そうに腕をビョーッと動かすのだ。
嫌なやつだ。
2
ヒトデの仲間なのだ。
一応、腕は5本なのだが、それがシッチャカメッチャカに無数に枝分かれし(「20回以上に分岐する」と言うそうな。)、この触手でデトリタス(海の生き物の死骸や糞などの有機物粒子)などを捕食する。
セノテヅルモヅルは、この白っぽい顆粒のボツボツが特徴だ。
色彩や顆粒の数などにより、かつてはイボテヅルモヅルとかヒヨウモンテヅルモヅルとかいう亜種が分類されたこともあったらしいが、現在それらはセノテヅルモヅルの変異とされている。
相模湾以南の太平洋岸の潮下帯に多く分布しているとのことだが、葉山ではレア。
が、秋田県男鹿では普通種らしい。???
なお、オオウミシダも同じ棘皮動物なのだ。
3
これを眺めながら一杯飲むのが至高の楽しみなのだ。
変?
それはともかく、実は、この図鑑の「クモヒトデ類」を執筆しているのはなんと高校時代に生物を教わった教師だったのだ。
仇名は「ミトコン」(ミトコンドリア)だった。
変な先生だったが、なんとなく親しみがあった。
まさか、こんなのの研究をしていたとは…。
縁とは不思議である。
まだ、お元気なんだろうか。