ヒトエカンザシ Serpula vermicularis

沖縄などと違って、葉山の海は彩が地味だ。
浅いところに珊瑚があるわけではなく、海草もたくさん生えている。
また、透視度の悪い濁っている日が多いため、特に葉山の海は暗いとも言われている。
一部を除いてだが、潜っている葉山のダイバーたちが暗いわけではない。

プリズムに通すと判るように太陽の光には様々な色が含まれている。
この光が海に入ると、波長の長い赤や黄などはまっすぐ海の水に吸収される。
従って、海の中でこれらの色は最初に失われる。
しかし、一度岩壁に強いライトの光を当てると、ステージの踊り子さんたちのように鮮やかにこれらの色が蘇ってくる。
踊り子さんに触ってはいけない。



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横幅10mm程度と小さいので、ライトで岩肌を撫ぜながら眼を皿のようにしてウミウシを探していると見つかることが多い。
暗い岩肌に人知れずポツンと咲いた可憐な花だ。
形状は、ちょうど彩り鮮やかな扇子を広げたよう。



2
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しかし、これ、環形動物門多毛綱ケヤリムシ目カンザシゴカイ科に属するゴカイの仲間なのである。
石灰質で作った棲管という蓑虫の蓑みたいなものを岩などに固着させ、その中にいわゆるニョロニョロ虫の本体部分が棲んでいる。
きれいな扇子の部分は、鰓冠と言って、これで呼吸をするとともに餌となるプランクトンを捕らえる。



3
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写真下のほうの部分に、萎んだ朝顔の花のようなものが見える。
カンザシゴカイの仲間は、水流や光などの刺激を受けると、鰓冠を棲管の中に引っ込めるのだが、これは、そのときに鰓冠の蓋の役割をする殻蓋という。
車輪のようにカラフルで、キャンディを連想させる。
しかし、この中身がゴカイだとは…。

昔、キス釣りをしながら、昼飯のサンドイッチを食べていたのだが、夢中だったので間違って餌のゴカイの仲間であるアオイソメをつまんで食べてしまったことがある。

そんなのと間違うのか、と思うだろうがなんの海には魔物が潜んでいる。
そういうこともあるのだ。
で、ジャリっとした後に貝類の独特の香りと甘みが口に広がった。
しかし、生臭さも一緒に広がったので、+-ゼロ。
砂を洗って洗浄して、醤油をつけて食べたら、結構いけると思うが…。
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by 1colorbeach | 2011-09-19 09:45 | その他の葉山の海の生き物 (46)