フクロムシ 葉山 権太郎岩沖 Rhizocephalan barnacle
2011年 07月 24日
葉山には多いオウギガニの仲間だ。
甲が扇の形をしていてオウギ、目と目の間の額が盛り上がっているのでトガリ。
しかし、よく見るとどうも歩き方がおかしい。
で、後ろから見てみた。
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Oh! モーレツだ。
古いか、ローザちゃん。
何か変だ。
ふんどしとは、カニの腹にある腹節の通称で、生殖器のカバーみたいなもんである。
だから、ふんどし。
オスはこれが二等辺三角形っぽく、メスは抱卵をするので包み込むように幅広く丸みを帯びている。
ヒトのメスのふんどし姿も魅力的ではあるが、カニのふんどしのことを英語ではエプロンというらしく、こちらの方がはるかに品は良い。
で、ひっくり返してみた。
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なんと、カニと同じ節足動物で、分類上はフジツボに近い恐ろしい生き物なのである。
なんで恐ろしいかといえば、丸い袋みたいなのはフクロムシのメスのエキステルナという卵巣と卵の入った生殖器でカニのお腹に寄生しているのだ。
気持ち悪いと言って、帰りに駅のごみ箱に捨ててはいけない。
一方、カニの体内にインテルナという紐の様な器官を入れて、カニから養分を摂取している。
ちなみに、このことを intel inside ともいう。
また、この生き物のオスが面白い。
たまに人間にも歩く生殖器みたいな輩がいるが、オスは生殖器以外はほとんど退化していて小さくなってエキステルナの中に埋まっている。
いわゆる蚤の夫婦で、専門用語では矮雄という。
猥雄ではない。
フクロムシに寄生されたカニはホルモンバランスを失い、生殖能力を失う。
寄生去勢というのだが、そのため、本来カニが生殖のための蓄えた養分はフクロムシに行くことになるのだ。
ちなみに、「帰省虚勢」とは、国に帰って田舎の友達に、実は不幸なのに都会ではハベリ良くやっている振りをすることを言う。
特に、生殖能力を失ったオスのカニは、ふんどしが幅広くなりメス化し、エキステルナを自分の卵だと思い後生大事に守り育てることとなるのだ。
ゾンビ化…悲劇という言葉はこのためにあるのかも。
結果としては煩悩は断ち切れるが、実に恐ろしいことじゃ。
「ちなみに」という語句が今回2箇所で使われていますが、その場合、その後に続く内容は嘘ですのでご注意願います。